段ボールベッドへの取り組み|Jパックス株式会社 水谷嘉浩氏

アラート委員会では 災害発生時に段ボールベッドの必要性を感じ、当クラブメンバーのL太田智子のご紹介で段ボールベッドの会社を経営しておられる水谷氏にお話を伺いました。

日本は災害大国、同時に防災大国とも言われている。安倍首相は海外に日本の防災対策を輸出するとまで言われているが、避難所の取り組みは大変遅れている。

避難所生活での健康被害

被災者は避難した後は雑魚寝で長期間窮屈な生活を強いられる。その結果、東日本大震災時は避難後に3,300人の災害関連死が有り、その内の1/3の1,000名ほどはたくさんの健康被害で避難所で亡くなられている。その原因は、雑魚寝で窮屈な生活にあり、血栓が出来てしまうエコノミック症候群や長期化すれば脳梗塞にも繋がることがたくさんの医療関係者の方々に意見を聞いて判った。避難所の床に布団を敷いて寝ていると傍を歩く人たちでホコリが舞い上がり、ホコリを吸引してしまう上に、窮屈で足も伸ばすことが出来ない。平らな床に寝ているとお年寄りは起き上がれず動かないので血液が循環せず様々な病気に繋がる。

簡易ベッドが避難所に届く仕組みが、日本と韓国以外の大体の先進国では既に出来上がっている。2012年に起こったイタリアの地震の時は実際に調査に行き、テントの中にベッド、トイレ、シャワー、食堂もある設備を48時間以内に設営出来るようになっているのを見た。日本では菓子パン、おにぎりなどを最初に用意され、二ヶ月目くらいにコンビニ弁当を配布するような現状に問題がある。

東日本大震災では被災地まで段ボールベッドをトラックに載せ回ったが前例が無いと受け入れをことごとく断られた。市の職員は自分の判断では決められないとたらい回しになり、結局、床に寝ておられる方を見ながら使用してもらえなかった経験がある。

ダンボールベッドの実用化

そこで対策を考えた。ご自分には段ボールベッドの利権があるので、作成した設計図を日本全国の3,000社(大手だと400社)に公開した。通常のベッドは作成するのに時間がかかるが、段ボールベッドの作成は紙なので手分けして大量に瞬時に作れる。あらかじめ行政と事前に防災協定を結んで全国に供給できるようにし、国の防災基本計画に簡易ベッドがやっと入った。

災害救助法が適用されると国が費用を持つので自治体は費用の面を気にせず躊躇せずお金を使いやすくなる。今では簡易ベッドも全国200あまりの自治体で認められ、もちろん大阪府も入っている。

防災協定を一番早く申し込んでくれたのは愛知県の新城市である。新城市が協定を結んでも新城市が被災したら工場が閉鎖されたら作成できないので近隣から運んでくるようにする。

昨年度、内閣府防災担当の山谷大臣に避難所の環境の改善を申し出た所、有識者会議で発言の機会をもらい、今年の4月にガイドラインが出来てその中に段ボールベッドや簡易ベッドが入った。今まで私的支援であったが、業界団体の防災担当のアドヴァイザーにご自身が今年の4月になり、その直後に熊本で地震が起こった。公正取引委員会では独禁法にかかるので初めノーと言われたが災害時の支援なので何度もお願いしに行きOKを得た。

先の熊本の地震では ご自身も現地で地震に遭遇されたのでその様子をリアルに伺った。益城町では災害対策本部で一緒に避難所の中でダンボールベッドをほぼ全員に入れたが、熊本市では市長から以前電話があり、ベッドについての問い合わせが有ったが結局曖昧なままで担当者が定まらず設置して無かった。熊本の避難所では結局長い間雑魚寝のままで最近5000程のベッドが入った。それでも頼みまくって入れてもらった。

このようなことを防ぐには行政と初めに防災協定を結べばよい。4年前に熊本県庁に行き防災協定を結べるように頼んだが熊本は災害のない県だからと言われ許可がでず、佐賀、長崎、大分、鹿児島の各県とは結べている。
災害関連死を防ぎたい行政と手を組んでしたいと思っていたが以前は振り向いてもらえなかったが最近は問い合わせがある。

この段ボールベッドの支給は私的支援では費用に限界があるので、原価の3,000円と運賃だけもらうようにした。供給力を一気に上げるために設計図を日本中の業者に公開した。先の熊本地震では 近隣の福岡、佐賀、鹿児島、長崎の各県の業者が5,000個作り熊本に運んだ。

段ボールベッドには浅いついたてもあり寝ている姿は見えにくい。ベッド本体の原価は3000円でついたてを入れると4000円くらい。平時の備蓄では外箱も入れ6000円の原価となる。防災協定を結びいざ注文となれば1000台くらいの大量の注文になるのでコストが抑えられ、すぐ使用するため外箱がいらないので3000円に抑えられる。

段ボールベッドは発注から3日あれば用意できるが、そもそも災害時の要援護者(障害を持っておられ援護を必要とされる方)や寝たきりの高齢者、ハンディキャップのある方をベッドが手元に届くまで床に寝かせて良いのか?高齢者施設や障害者施設に災害が起きた時にすぐ使えるのが望ましい。行政が指定している福祉避難所があり備蓄しておければすぐ使える。孤立してしまう山間部も該当する。

避難生活から命を救う

災害が起こり最初の三日間は命を救うための3日間で、その後に避難所に水・食料を貰いに来て自宅が崩れていない人は自宅に戻り、住めない人は長期の避難生活が始まる。そんなわけで実際には一週間以上かかり最短で注文が出せる。

ベッドを備蓄できたとして、使う優先順位は 時間が無いので現場にいる人が決めるしかない。防災訓練で判断できる力をつける。時間の経過は被害の拡大に繋がるので早く対処する。
備蓄を買うのは一部行政がしてくれているがほとんど手が回っていないのが現状である。行政が福祉避難所として指定している避難所の片隅に5個でも10個でも備蓄を置ければ良いと思う。でも大抵は場所が無いという声があがる。

氏の切なる思いは「雑魚寝という避難所の景色を変えたい! 精神的なダメージを受けている人に身体的なダメージを与えたくない!
ベッドを提供することで明日から頑張るわという意欲が湧いて欲しい!」
ということでした。